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市電延伸は、値上げが前提?!

空港・交通政策

前回のブログで掲載した市電の延伸計画について、札幌市役所の
担当者から詳しいお話を伺いました。
頂いた資料は、市役所のホームページにも出ている(こちらをクリック
のですが、その中に大変衝撃的な説明がありました。
まず、老朽化した施設や設備を更新するためだけでも、今後、
約100億円の設備投資が必要、というのです。
さらに市電延伸には最大150億円近く要する計画です。
でも皆さま、市電の年間売り上げはわずか約10億円しかないことを
考えてください。
毎年赤字が続いていて、借金が積みあがっています。
家計にたとえると、年収100万円のお父さんが
 「愛車が古くなったから修理したいなあ」
 「クラシックカーで修理に1千万円かかるんだけど・・・」 
 「せっかくだから1500万円の新車に買い替えようかなあ」
と夢を語っているようなものです。
家庭だったら、
 「屁理屈言ってないで、そんなポンコツ捨ててしまいなさい」と
奥さんに怒られるところです。
札幌市もこれは分かっているようで、
「現在の事業収入だけでは投資負担が困難な状況」
と説明します。さらに、
「現状のままでは、市電延伸しても黒字化は見込めない」
と説明します。
「それじゃあ、延伸は止めたらよいのではありませんか?」
私がそう質問すると、
「経営の効率化と利用者負担のあり方を見直せば、路線延伸
10年後をめどに黒字化転換できる見通しがある」といいます。
enshingiron.jpg
(札幌市HPより引用)
経営の効率化と利用者負担のあり方の具体的な方法を尋ねると、
 「経営の効率化」 → 民間への委託などのリストラ
 「利用者負担のあり方」 → 運賃の値上げ
とのこと。
つまり、市電延伸は運賃の値上げが前提だ、というのです。
札幌市の実施したアンケートだと、
「市民の6割以上が市電延伸に賛成」
ということなのですが、運賃値上げを説明した上のアンケート
だったのでしょうか。
札幌市が述べている二つの経営改善努力は、路線延伸を待つこと
なく、いますぐ実行すれば良いと思いますし、もし黒字化が実現
すれば、将来への設備投資の原資が生まれてきます。
赤字のまま夢を語って借金を重ねても、未来はありません。
市の担当者は、市電延伸計画に当り、「赤字の解消」とか「まちづくり
への活用」とか「環境問題」とか「観光振興」とか、さまざまな論点を
ちゃんぽんにして議論をぶつけてきます。
話を聴いているとどちらが正しいのか、自分でもよく分からなくなって
くるくらいですが、しかし、絡まった糸をひとつひとつほぐしていくと、
結論はおのずと明らかになります。
夢ある「まちづくり」に反対する人はいませんし、環境保護や観光振興
に反対する人もいません。
でも、これらと採算の取れないな設備投資を一緒にするのは、やはり
誤りだと思います。
・市電の存続・延長で便益を受けるのは誰か。
・その経済負担は誰が行うべきか。
この2点を考えれば、将来への答えは明らかではないでしょうか。
※札幌市の主張は市役所のHPにも詳しく出ていますので、興味のある
   方はぜひご覧になってください(コチラ)。

コメント

  1. SH様
    私もバス代替したほうがよいのではないか、と
    思うのですが、札幌市担当者の説明によると、
     ・朝のラッシュ時にバスを2分間隔で運行しなければならない
     ・冬期間は運行ダイヤを保つのが難しい
     ・バス代替に30~40億円かかる
    との理由で、バス代替は不可能だそうです。
    素人的には、バスが2分間隔で来たら今より
    ずっと便利だろうと思いますが・・・。
    いずれにしても一部の人しか利用しない赤字
    路線に税金をつぎ込むのは正しいこととは
    思いません。
    しっかり目を光らせていくつもりです。

  2. 市電の赤字ってそんなにひどいんですね。
    それをさらに借金して続けようなんて将来世代に対する責任ある態度とは思えません。
    路線バスで代替した方がいいんじゃないでしょうか。
    市営地下鉄の赤字とかも気になりますね。