8月24日の経済委員会では、9月15日に豊平区に新規オープンするカーリング場の
建設現場を視察しました。
公共のカーリング場としては全国で初めての通年型の専用カーリング場です。
計画当初からハコモノ投資への批判や、カーリング人口は札幌市には少ないことなど
から賛否両論あり、建設予算を決する平成23年度の市議会では私は反対しましたが、
議会では圧倒的多数で可決されています。
このカーリング場は当初から運営面での赤字が予想されており、赤字を補填するために
札幌市は民間の協賛金を募ったところ、先日北海道銀行と年577万円の協賛契約が
まとまりました。
これにより「どうぎんカーリングスタジアム」と愛称を命名されています。
場所は月寒中央駅のすぐそば。
現地では外構部の最終工事に掛かっているところでした。
建物の外側には、スポンサーである「Hokkaido Bank」の大きな表示が目立ちます。
総工費約17億円の立派な建物です。
入場料は比較的安く抑えられています。
場内に一歩入ると、すでにレーンに氷が張られていました。
氷が溶けないように冷房ががんがんに効いていて、外は真夏なのに、中は
まるで真冬のよう涼しさ(寒さ)です。
観客席は2階に設けられています。
2階の観客席からレーンを眺めるとこんな感じです。
200席ほど設けられていますが、座っていると寒くて、薄着だとじっとしているのは困難です。
レーンにも、「Hokkaido Bank」の表示がされています。
「将来の国際競技開催に備えてドーピング検査場も設けた」と担当者は胸を
張っていました。
現地を見学した感想としては大変充実した施設で、関係者が一生懸命工夫した
様子が随所で分かります。一旦作ってしまったものは市民のために有効利用
してほしいと願うほかありません。
しかし、今更ながら気に掛かるのは、札幌市が「全国初」を得意げに語っている
ことです。
「全国初」というのはイジワルな見方をすれば、常識では考えられない施設を
作ってしまったとも言えます。
レーンの氷を一年中氷点下に保つためには莫大な施設管理費がかかります。
原発事故後で省エネが求められている中、この施設の使用電気量を担当幹部に
尋ねたところ、「分かりません」との回答でした。
建設費も借金(市債)で、負担は未来の世代払いです。
財政破綻した夕張市もハコモノの維持費と借金で首が回らなくなったのでした。
ここで思い出すのが、私の生まれ故郷の千葉県でかつてバブルの頃に栄えた
「ザウス」という通年型の屋内スキー場です。
写真:ららぽーとスキードームSSAWS
「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」より
いまから20年ほど前、世はバブルの頃、日本中で爆発的なスキーブームが起きました。
バブルの頃はなんでもありだったのですね。
「スキー場を首都圏に作ろう」と三井不動産が建設した世界最大の屋内スキー場で、
外見は恐竜のような形をしていることから、「ザウス」と命名されました。
場所はJR京葉線から徒歩数分のところにあり、灼熱の首都圏でも場内には冷房が
冷凍庫のように効いていて、一年中パウダースノーを楽しむことができます。
上級者コースにはコブ斜面がうなっていて、若いスキーヤーには大人気で、私も若い頃
には何度も通ったことを思い出します(スキーは下手です)。
しかし、バブルがはじけて日本経済が深刻な不況に陥る中、入場客は年々減少して
いつでも割引券を配るようになり、夏でも冬でもガラガラだなあ、と思っていたらいつの
間にか潰れてしまいました。
幸い、運営会社は資本力を有する大手不動産会社だったので、損失が拡大する前に
事業を撤退することができたのですが、役所の場合、長期的な投資収支の視点で
事業を考える習慣がありません。
常設のカーリング場で新しくカーリングを楽しむ市民が増えて、赤字を吹き飛ばす
くらいの賑わいを見せてくれることを祈るばかりです。
コメント
東区民様、真駒内アイスアリーナは確か北海道の管理だったと思います。
いま北海道は札幌市と違って深刻な資金不足なので、建て替えは予算的に
難しいのかもしれません。
それからフィギュアスケート、いいですね。
税金を使って建てる公の建物はカーリングみたいな一部の人のためのもの
ではなく、市民みんなが広く使える施設を優先したほうがよいと思います。
知らない間にこんなハコモノが…。
正直言って、「採算」なんて度外視でしょうね。
こういうのは、カーリングが盛んな北見市あたりに任せておけばいい話だと思いますが…。
どうせやるなら、真駒内アイスアリーナの建て替えをやってほしいものです。
歴史的建造物と言っていいのかもしれませんが、築40年以上でかなり老朽化が進んでいます。
私はフィギュアスケートファンで、全国あちこちでスケートの試合を観戦していますが、
やはり大阪のなみはやドームや長野のビッグハットなどと比べると見劣りします。
カーリングの施設とは違い、春~秋はライブやイベントなどでの利用も可能ですし、
ウィンタースポーツ振興を謳うなら、競技人口の圧倒的に多いフィギュアスケートにも目を向けてほしいです。
豊平区在住の一市民ですが、知らないうちにこんなものを
つくってしまったのですね。
本当に採算がとれるのか今から心配です。
役所は本当に箱物を作るのが好きですね。
良く監視しないと。