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イジメの張本人が作る「いじめ隠ぺい」条例。文部科学省に門前払いを食らった話

学校教育、イジメ・体罰
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いじめ隠ぺい条例?

渋谷区議会でいじめ防止条例が制定されました。
「いじめ防止」と聞くともっともなタイトルで、誰もが賛成しそうです。
文部科学省の調べでは、全国のいじめ認知件数は61万件を超えています。
イジメが原因の不幸な事件が数え切れないくらい起きています。
ところが、条例の条文を詳しく調べて見るとこれがひどい。
中身はスカスカで、「事件が起きたら調査委員会を作ります」というだけ。
いじめ防止どころか、学校や教育委員会がいじめを隠すこと、
つまり「いじめ隠ぺい」が本当の目的ではないかと思われる内容なのです。
私は勝手に「渋谷区いじめ隠ぺい条例」と呼んでおります。

いじめから子供を守ろう ネットワーク さんのポスター

目線は子どもではなく教育委員会

条例には、いま現時点でイジメで困っている子どもを救う中身が何もありません。
被害にあっている子どもが少しでも助かるなら良いのですが、
目線が子どもではなく教育委員会なのです。
あくまで学校と教育委員会の立場を守るだけ。
そのうえ、条例を作るだけで肝心要(かなめ)のイジメ防止計画が未作成といいます。
質問しても「近いうちに作ります」とまるで他人事のよう。
器だけ作っても中身がなければなんの役にも立ちません。
そして、もし万一重大な事件が起きてしまったら、
「その時は調査委員会を作ります」というのですが、
そこには密室の中に問題を閉じ込める意図が見え隠れします。

いじめは闇の中に・・・

イジメが起きたら、学校に都合の良い調査委員5人が任命され、
調査委員会が開かれます。
調査委員の日給18,000円だけはちゃっかり決まっています。
教育委員会が被害者家族や議会、マスコミから質問されても、
「いま調査委員会で調査中なので答えられません」
と言ってノーコメントを貫くことができます。
調査委員会は都合の良い逃げ文句です。
その上、調査委員会は「中立を保つ必要がある」と言う理由で、
被害者の意向は加味されません。

よくイジメが起きると学校や教育委員会は
「加害者にも人権がある」
とかいいますよね。
被害者、加害者双方から中立でなければならないというのです。

そしてほとぼりが冷めたころに調査委員会の報告書が発表され、
しかし既に関係者は人事異動でサヨウナラというのが見え見えです。
こうして調査委員会は時間稼ぎ目的の隠れ蓑になってしまうのです。

住民も議会も蚊帳の外

こうならないように、国の法律では自治体の長(市長、区長など)が
議会に調査結果を報告させる義務が定められています。

いじめ防止対策推進法
(公立の学校に係る対処)
第三十条 地方公共団体が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、当該地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 地方公共団体の長は、前項の規定による調査を行ったときは、その結果を議会に報告しなければならない。

学校や教育委員会では先生の利益を守る学校ムラになりがちです。
だから、市町村長が調査を行い、その結果を議会に報告することが
法で決められています。
議会では議員が住民に代わって報告を受けます。
話を聞いた議員は住民に報告します。
しかし、今回提案されている渋谷区のいじめ隠ぺい条例では、
法律で決まっている「議会への報告義務」が除かれています。
渋谷区議会には堀切区議や私の他にウルサイ議員はいませんが、
それでも議員から公の議会で質問されたくないのでしょう。
どこまで行っても渋谷区は隠ぺい体質だな、とため息が出るばかり。
困ったものです。

渋谷区教育長はあの方

おまけに渋谷区教育長といえば、町田いじめ事件の前校長です。
(※事件についてご存じない方はネットで調べてみてください。)

実際に教育長(五十嵐俊子氏)は調査委員会を口実に説明を拒んでいます。
「調査委員会でいま調査中」
「個人情報なので答えられない」
というのです。

さぞ調査委員会が逃げ隠れするのに便利だったのでしょうね。
ことし4月に町田市から渋谷区教育長に栄転した五十嵐俊子氏。
着任早々、渋谷区にイジメ条例がないことに気付き、
「渋谷で調査委員会がないと自分の立場がヤバい」
と慌ててイジメ条例を発案したのでしょう。

【悪夢】イジメ隠ぺいの張本人が作るイジメ防止条例

町田の事件はタブレット端末がイジメの温床だったそうです。
パスワードは123456789。
学校長の判断であえて自由放任な状態に置き、だれでも悪さができる状態でした。
そして事件後はイジメのデータが速攻削除されたと報道されています。
現時点では五十嵐教育長は町田イジメとの関係について口を閉ざしています。
五十嵐教育長がなぜ渋谷区に栄転して来たのかも謎に包まれています。
闇に包まれた五十嵐教育長。
いじめを隠ぺいした張本人が提案するいじめ防止条例なんて、
悪い冗談としか考えられません。

渋谷区教育委員会の五十嵐教育長と小泉次長。写真協力:令和タケちゃん【撃退・報道系YouTuber】

そして、写真で教育長の右隣りにいる中年の男性は文部科学省から
天下りでやって来たお役人さん(*)です。
いや次長と言えば教育長の次のナンバー2。
実質的に事務方トップです。
国から派遣された公務員なのに法律を無視しても平気なのか・・・?
(*)渋谷区教育委員会事務局次長・小泉武士氏

小泉次長の上司に掛け合ってみよう

渋谷区の条例は渋谷区議会の専権事項ですが、
さすがにこれは法律の趣旨を無視している!

ということで、
小泉次長の派遣元である文部科学省に陳情してみようと思い立ち、
堀切ねんじん区議と霞が関の文部科学省に行って参りました。

文部科学省の1階玄関

堀切区議に文科省初等中等教育局の担当者(※)のアポを取ってもらい、
指定の時刻に行きました。
文部科学大臣への手紙を書いて渡そうとやってきたのです。
(※)担当者:児童生徒課・生徒指導室企画係・小澤英雄氏

文科省は面会拒否

ところが、文科省1階の警備員は
「手紙はここでお預かりします」
と言って、
中に入れてくれません。
面会拒否です。

「担当者の小澤さんに手渡ししたい」
と受付の方にお願いしたのですが、
ダメの一点張り。
長い交渉の末、担当者が1階まで降りてくることになりました。
しかし、現れたのは小澤さんではなく、別の女性の方。
渋い表情で手紙を受け取ってくれたのは良いのですが、
女性は名札を示すだけで、名刺は持っていないとのこと。
もしやと思い聞いたら、案の定「パート」さんでした。

大臣への手紙をそのままゴミ箱に捨てられたら困るので、
「手紙に受付印か預り証を押して欲しい」とお願いしました。

パートさんは困った様子で、どこかに電話していましたが、
結局は、
「できません」
と断られてしまいました。

参りました。
これでは無駄足です。
せっかく霞が関まで来たのに、手紙を受け取ってもらえないと困ります。
大臣には会えなくとも、せめて担当者に会って渡したい。

パートさんと交渉する堀切ねんじん区議

藁にもすがる思いでお願いしたところ、パートさんはまたどこかに
電話をかけてくれました。
交渉すること約30分。
パートさんの最終回答は
「書類はお預かりできません」
と手紙自体も受け取ってもらえなくなってしまったのです。

面会拒否どころか、手紙も受取拒否に

パートさんに何度も確認しました。
「国の判断として、手紙は受け取れない」
と言われました。
明確な受取拒否です。
まるで迷惑オジサン二人を追い払うかのような態度です。

国民の請願権は憲法で保障されているはずなのに、
アポを取って出向いてみたら門前払いとはひどい話です。

同僚の堀切議員はれいわ新選組の国会議員と親しいので、
もしかすると国会議員からアポを取ってもらえば、
違う態度だったのかもしれません。
しかし、一介の区議会議員では門前払いです。
ましてただの一国民だったら・・・
推して知るべしですね。

「お上には勝てない」


こう堀切区議と二人で肩を落としながら、
記者クラブに向かい、報道の皆さんに資料を配ってきました。
記者さんはみな興味津々の様子ですが、
よく聞いてみると、
「いじめ問題は遺族のプライバシーもあって難しい」
と、いささか厳しい表情です。
「区の条例のことは区でやったらどうですか?」
と朝日新聞の記者にも言われてしまいました。

しかし、この事件の発端は東京都が派遣した五十嵐教育長と、
国が派遣した小泉次長の問題です。
渋谷区としては外から持ち込まれた騒動なのですが、
なかなか説明が難しいと思いました。

文部科学省に飾られているアート作品。本文とは関係ありません

こうして、文部科学省の建物をあとにしたのはもう夕暮れです。
徹夜で資料を準備していた堀切区議はすっかり落ち込んでしまい、
傍で見るも気の毒なほど。
励まそうと数十年ぶりに新橋のガード下に向かおうと思ったのですが、
よく考えたらまだ緊急事態宣言中。
焼き鳥屋さんなんてやっているわけがありません。
コロナ禍で何ひとつ願いも叶わず。
虚しい初秋の一日でした。

参考リンク

文部科学省に提出する予定だったが受け取ってもらえなかった書類

文部科学大臣へ五十嵐いじめ(PDFファイル244kb)

 

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