議員二年目の平成24年、私はPTA共済の問題を取り上げました。
札幌市で設立されたばかりの「財団法人札幌市PTA共済会」が密かに利益をあげて、教員OBやPTA一部関係者の利権と化していることに気づいたからです。
情報公開制度、9月20日に公開審査。(平成24年9月21日)
情報公開請求の異議申し立てが認められる(平成24年12月29日)
数年前に書いたこの記事はいまだにかなりのアクセスがあります。
PTA共済の疑惑は全国に共通する問題だからかもしれません。
ここ数日、事務所を整理していた所、関連する資料がたくさん出てきました。
そして本来このとき公開するはず文書が、何かの手違いで未公開のままだったことに気づきました。
そこで問題点を整理するために改めて論点を書下ろすとともに、全国の保護者の皆さまの参考になりそうな部分をPDFファイルで一挙公開します。
PTA共済の保険料率など珍しい資料もあります。
長文なので全三編に分けます。
ボランティアのPTAがなぜ利権に化けるのか
その秘密は保険数理にあります。
PTA共済は事業主体がPTAというだけで、被保険者は小学生、保険者は保護者という、どこにでもある子供向けの傷害保険に過ぎません。
保険会社の給与水準が高いのは有名ですが、保険料の計算は難しく、なぜ保険会社がそんなに儲かるのか、その秘密は部外者にはなかなか分かりません。
いままでは保険会社に委託していたPTA保険について、恐らく保険制度に詳しい関係者が「自前のPTA保険を作れば儲かる」と気づいたのでしょう。
普通は保険の勧誘は大変なのですが、PTA保険は全員強制なので簡単に加入させることができます。
保険料の集金も学校の先生やPTA役員がボランティアで集めてくれるし、保険金給付事務も学校が代わりにやってくれます。
実務的にも実にローコストな制度設計なのです。
さらに子供の保険金事故は意外と少ないうえに、保険金が小さくも手続きが面倒と思うのか、事故が起きても申請しない保護者がかなり多い。
もともと多めに保険料を集めているので、放っておいても利益はジャブジャブと生まれる仕組みです。
しかも、積み上がった利益は「責任準備金」として堂々と懐に入れて積み立てることができます。
PTA共済はどれだけ儲けているのか
PTAを所管する教育委員会に、こう尋ねても教えてくれません。
なぜか「資料がありません」の一点張りです。
「○○部長が持っているのを見た」と指摘すると、「それは○○部長の個人資料です」と返事です。
PTAのTはティーチャーのTですし、教育委員会からPTAに多額の補助金も出しているため、会計決算の資料は持っているはず。
しかし、札幌市教育委員会はどうにも秘密にしておきたいようです。
何度も丁寧に資料提出をお願いしましたが、どうしても出してもらえませんでした。
なにか隠さなければならない理由があるのでしょう。
PTA共済の利益は保護者が払った保険料ですから、説明できないほど儲けすぎた分は保護者に還元すべきだと思うのです。
北海道庁に行ってみた
仕方がないので札幌市との交渉は諦めて、私は共済制度を所管する北海道庁に行ってみました。
北海道庁ではなく、北海道教育庁という組織が担当だそうで、こちらに肝心の資料があるとのこと。
担当者によると「情報公開制度で資料が出せる」ということで、早速お願いしました。
ところが、驚いたことに提供された資料は肝心の数字が真っ黒に塗られて出てきたのです。
資金計画の収入と支出の項目が真っ黒に消されています。
収入から支出を引けば利益が計算できます。
職員の項目も消されています。
役員数は公開なのに職員数を隠しているのもなにか理由がありそうです。
もしかしたら職員の利益を守りたいのでしょうか。
こちらは貸借対照表です。
「現金及び預金」の下の明細が隠されています。
たぶん明細には銀行名が書かれているのだと思います。
隠す必要があるのかどうかも分かりませんが、なにか秘密が隠されているのかもしれません。
PTAはボランティアではないのか?
この貸借対照表はPTA共済の設立当初の計画表ですが、
・出資金にあたる「共済準備金」や「一般正味財産」がどこからやってきたのか?
・PTA共済の持ち主は誰なのか?
・ボランティアのはずのPTAのどこにそんなおカネが埋もれていたのか。
一切が闇の中です。
実に怪しい。
ボランティアの隠れ蓑をかぶって、コソコソと小銭を稼ぐPTA幹部。
そして、PTA事務局に天下ってそのお零れに与ろうと隠蔽工作に加担する小役人。
まさに不逞の輩とはこのことで、「税金のお目付け役」の血が騒ぎます。
わたしは北海道庁と争うことを決めました。
((2)に続く)
資料ダウンロード
下記の3つの資料は情報公開ではじめに北海道教育庁からもらったものです。
どこに墨(スミ)が塗ってあるか探してみてください。
PTA・青少年教育団体共済法第3条に基づく共済事業の認可について
PT A・青少年教育団体共済法第6条に基づく共済規程の変更の承認について
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