落選した議員はその後なにをしているのか?
私自身も政治の道に入るまで、ずっと疑問に思っていました。
政治家のブログを見ても、浪人中(落選後)の暮らしぶりを書いている人はあまり見当たりません。
この春、実際に自分がその立場になってみて、はや約半年以上が過ぎました。
ときどき知人から「いま何しているの?」と遠回しに聞かれることがあるのですが、落選した当人には意外と正面から聞きづらいことだそうです。
(実のところ、当人はあまり気にしていないのですが)
そこで小生を気にかけてくれる皆さまへご報告と、これから政治の道を目指している方のために、すこし踏み込んでありのままの姿を書いてみようと思いました。
議員に退職金はない
人間として生活していくためにはお金が必要です。
議員の間は公職としての報酬が毎月決まった日に振り込まれるわけですが、これが落選とともに無くなります。
家族を養い住宅ローンも抱える一家の大黒柱としては生活の危機です。
一言で「議員」と言っても、国会議員から村会議員まで各級の議員がいます。
地方議員は兼業が認められていますが、政令市クラスの議員だとその業務量の多さから専業でやっている人がほとんどです。
つまり、議員落選=(イコール)失業を意味します。
市長ならウン千万円という莫大な退職金が出るのですが、議員には退職金はありません。
むかしは議員年金というのがあったそうですが、いまは廃止になりました。
もちろん失業保険はありません。
組織に戻れる議員
労働組合や共産党、宗教、生協など、いわゆる組織出身の議員は有利です。
仮に落選しても組織が生活を支えてくれるからです。
一部の政党は政治活動を続ける代わりに「支部長」としてわずかな活動費を支給するところもあるようです。
こういう組織型議員は選挙資金も票も政党持ちで簡単に政治家ごっこ(?)ができる代わりに、政治家としての信念よりも政党の意向に従わざるを得ません。
議員より党の方が立場が強いようで、党幹部にコテンパンに怒られている議員を見たことがあります。
また、落選後の生活が保証される代わりに、議員在職中は政党にかなりのお金を貢ぐ議員も多いようです。
議員版の組織内失業保険のようなものでしょうか。
このため議員としての実際の収入は意外と少ないそうです。
組織系議員は実質はサラリーマンに近い、ローリスク・ローリターン型と分析できるかもしれません。
組織を頼らない議員
一方で保守系の議員で政党(組織)丸抱えは意外と少数派です。
キャリア官僚やスカウトされた有名人など、よほどの方でない限り、選挙資金は原則自分持ち。
このため、自分で会社を経営している、など一定の資金があり、地域の名士のような方でないと政治家として生き残れないのかもしれません。
実にハイリスクな職業です。
若くて資金が乏しい保守系の政治家は、支援者の企業経営者などにお世話になるケースが多いようです。
昔、小泉元総理が浪人中の若い頃、企業に籍だけ置いて給料名目で支援を受けていたことを問われ、「人生いろいろ、会社もいろいろ」と明言を残していました。
「貴方の仕事は次の選挙で当選して国を変えることだ」と支援者が生活を支えてくれたというのです。
政治家にとって、まさに救いの神です。
救いの神はどこに
しかし、私には残念ながらそのような救いの神は現れませんでした。
国会議員ではなく地方議員ではそもそも国を変えようもありません。
所属していた「みんなの党」が解散しました。
「自民党」からも除名されたような人間には所詮無理な話です。
まさに自らの不徳の致すところで、こうなると恥を忍んで(?)支援者を回るしかありません。
政策を語り、浄財(政治献金)をお願いするのも実は大切な政治活動の一つ。
しかし自分のポリシーとして「企業献金は受けない」とアピールしていた手前、なかなかそうも行きません。
支援のお願いはともかく、当面の生活費は自分でどうにかするほかないのです。
年老いた母親からは「前に勤めていた会社に頭を下げて雇ってもらいなさい」と叱られてしまいました。
しかし朝日新聞系の会社だっただけに、自分の信念としてそういうわけにも行きません。
職安に行ってみた
仕方なく私はまず近所の職安に行ってみました。
掲示板にはたくさんの求人情報が貼ってあります。
簡単な登録をするとペラペラのカードを一枚渡され、検索パソコンで全国の仕事を探すことができます。
しかし、この歳で出来そうな仕事は少ないですね。
なにせ私の場合、大学を出てからサラリーマンしか経験がないのです。
4年間の議員生活を経て札幌市役所の局長くらいならできるとは思いますが、そんな仕事は職安にはありません。
中高年の失業者が「あなたのセールスポイントはなんですか?」と企業の面接で聞かれて「部長ならできます」と答える笑い話がありましたが、まさに自分がその状態です。
幸いに最近の好景気で職種を選ばなければ仕事はあるのでしょう。
実際に仕事を紹介してくださる方もいたのですが、フルタイムで働くと政治活動の時間がありません。
数年後にまた選挙があることを考えれば、長い期間働くことも出来ません。
必然的にアルバイト的仕事にならざるを得ず、働く方も、雇う方も全く困ります。
役所には短期の仕事がたくさんある
これはある方から教えてもらったのですが、官公庁には短期の非常勤の仕事がたくさんあります。
(参考リンク)
定員と予算の関係なのでしょうが、どれも一年や半年更新など短期の仕事です。
難しい公務員試験はなく、たいがいが作文と面接の試験だけです。
いずれも得意分野ですし、短期間の契約社員なら後腐れもありません。
給料は安い代わりに、敵の(?)内情が分かる。
そう思っていくつか紹介された仕事に応募してみたのですが、なんと全部不合格。
邪な思いがバレていたのか、自分としてはいささか不本意な結果です。
しかしよく考えれば、それもそのはず。
私がさんざん行政の不正や利権を暴いてきたことは調べれば簡単に分かることですから、
いくら公平な採用とは言え、役所がそんな面倒な人を雇いたいはずもありません。
いずれ議員に戻ったらまた関係が逆転するのもお互いに難点です。
道は自分で切り開くしか無い
しばらく諦めの境地でノンビリ資料を片付けたり、旅に出たりと半年ほど苦悶の日々を過ごしました。
その上の結論として、起業して自分で生活費を稼ぐことしかないと悟りました。
いまは僅かな資本金で小さな会社を起こして日々の収入を得ています。
細かなビジネスニーズを拾い上げようと暗中模索の毎日です。
おかげ様で最近ようやくある程度の事業が軌道に乗ってきました。
その中で大切だと感じるのは、やはり人の縁。
社会の信用を大切にしながら、世間様の役に立つよう品質の高い仕事に努めて行きたいです。
今のところ零細企業ですが、いつかは業容拡大して雇用と納税の面でも社会に貢献したいと考えています。
ビジネスの世界は動いた分だけ結果が自分に返ってくるので楽しいです。
気付いたら政治家ブログも長い間更新が途絶えていました。
これから政治を志す方に
いまは地盤も看板もなくとも、志さえあれば政治家になれる時代。
私自身も安直に知人にこの道を勧めていましたが、実際にやってみて現実は厳しいと反省しています。
「武士は食わねど高楊枝」とことわざがあるとおり、この仕事は多少の見栄(?)も必要で、ある程度の資本が求められるのが実情です。
冒頭に書いたように組織に頼れば政治家になるのは簡単ですが、一方でスポンサーの言いなりにしかなれません。
これから政治を志す方には政策を磨くのはもちろんですが、その上で
・資格を取る
・広く浄財を集められる人脈を作る
・株や不動産で資産を増やす
・ネットで稼ぐ
など、自力で生活できるような最低限の生活基盤の準備を強くお勧めしたいと思います。
私も生活を安定させたうえで、いずれ再び世直しに挑戦したいと考えています。
コメント
アイヌ利権や行政の不正などを暴いてきた金子先生は保守政治家の鏡であり、貴重な戦力の一人です。
次の選挙も是非戦って頂きたい。
そのために自分もできることがあればお手伝いさせて頂きたいと思います。
これからも応援していきます!
今日、小野寺道議と工芸作家さんがアイヌについて語られている動画を見ました。
無関心でいる間、そんなことになっていたなんて衝撃的でした。
アイヌのことは自分の生活とはかけ離れた存在で考えることはありませんでした。
ほとんどの道民がそんなものなのではないかと思います。
最近、ヘイト問題がネットでよく見かけられ、ようやく今日本全体が危機的な状況なのだとわかりました。
私は「アイヌはいない」と新聞が騒いていたとき、状況がわからず、金子さんがコメントした記事を読みました。
金子さんの言葉を私が理解できたかどうかはわかりませんが「アイヌを差別している!とアイヌの人たちが本当に思っているのなら、アイヌの人たちに与えられた数々の特権は彼らの尊厳を奪うのではないか。
逆に、数々の特権に固執するならば、もうそれはアイヌとは呼ばない。だから「アイヌはいない」と言いたかったのかと受け取りましたし、それならば私も「アイヌはいない」のではないかと記事を読み思いました。
その時は、金子さんの言葉尻をとられ責められているのかと思いましたが、それ以上に各方面からの圧力とマスコミ、特に新聞でねじ伏せられたのだと、今日の動画でやっとわかりました。
それで、金子さんはその後どうされているのか気になりこちらを読ませていただきました。
札幌市民もアイヌ問題や政治に関心のない人は残念ながら多いのかもしれませんね。
自分たちの暮す、日本であり、北海道のことなのに無関心な人が多いです(私も含めてですが)
そんな中で、逆風と圧力の中で声をあげてくれていた金子さんのような方がいて頑張ってくれていたことを思うと申し訳ない気持ちでいっぱいです。
こんな私でも世の中の流れに気が付くことができたくらいですから、もっとたくさんの北海道人(おもにインターネットをする人たち)が自分たちの状況に気付いてくれて来てると思っています。
軽々しく言えない状況なのは承知なんですが、それでも今の状況には負けないで下さいと言いたいです。
政治的に戦ってくださいとは言いません。
でも、金子さんとご家族の生活のためには負けないで今を頑張ってくださいと言いたいです。
真実の声をあげた金子さんを失った札幌市民は大きな損失を被ったと思います。
偏向報道があふれる中、それに気が付いて正しい判断ができる北海道の人間が増えることを願っています。
その時には金子さんのしてきたことがどれほどのことだったかわかる人も増えると思います。
今は、ご自分の生活を一番にビジネスが軌道に乗られることをお祈りいたします。
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