今日は会派から堀川素人議員による代表質問が行われました。
堀川議員が質問の中で「PTA加入自由化」について触れたところ、議場の
あちこちから突然、とてつもなく激しいヤジが飛んできました。
発言が聞き取れなくなるほどで、UHBテレビ(北海道文化放送)の夕方の
スーパーニュースでも「PTA問題で議場騒然!」と取り上げられていました。
PTAとは、学校に通う子供たちのために保護者が力を合わせて協力しよう
というものだと思いますが、保護者の中にはいろいろな考えの人がいます。
夫婦共働きで仕事を持っていて、協力したくとも時間がない人もいます。
でも、札幌市のPTAは「一人一役の原則」として全員加入を前提として、
保護者全員がなんらかの役に付くことを学校で呼びかけています。
一番大変なのはクラス役員なのですが、実際のところ、これが担任から
頼まれるとなかなか断りきれない、との話をよく耳にします。
ましてやPTA加入自体を拒もうものなら、ただの「ズル」あるいは変人扱いです。
学校には子供を預けているので、「子どもが先生にいじめられたら困る」と思い、
こんなとき親としてはダンマリを決めたくなる心境に至ります。
しかし、本来ボランティアは自発的に行うべきもので、強制されてやるもの
ではありません。
PTA加入は自由意思、あくまで任意が原則であることを、しっかり学校が説明
するべきです。
保護者が納得してPTAに参加するのでなければ、そして嫌々の参加であれば、
その結果は子供たちのためにもよくありません。
こんな当たり前のことを議会で発言すると、あちこちの議員からヤジの一斉
攻撃を受けることが分かりました。
6月の議会で、私が代表質問でPTA問題を取り上げた時も同じでした。
PTAは一部の市議会議員の支持基盤でもあることを考えると、きっと議会での
PTA批判はタブーだったのかもしれません。
それでは、なぜ学校は保護者に無理強いしてまでPTA活動を行いたいのか?
私の分析では、それはPTA活動を本気で行いたいのではなく、ただ単に
PTA組織を守りたいためではないか、と考えています。
札幌市には「札幌市PTA協議会」という組織があり、ここには10数名の
職員が働いています。
職員のほぼ全員が札幌市職員OBです。
「札幌市PTA協議会」には札幌市から多額の補助金も交付されています。
PTAに参加している保護者や教員はボランティアですが、これを生業に
している組織があるのです。
PTA加入を自由化すれば、会費収入が減り、職場が奪われます。
学校は札幌市職員OBの天下り先を守りたいがために、その資金源である
PTAの組織を守ろうとしているのではないでしょうか。
私が情報公開を求めても、PTAも教育委員会も徹底防戦の構えです。
また、今年からPTA協議会が札幌市内で開業した「PTA共済」も問題です。
PTAと同じく全員加入が原則で、申し込み意思の有り無しを問わず、強制で
口座引き落としで保険料を取られます。
保険料と言っても年間わずか数百円なので、「まあいいか」という気に一瞬
なるのですが、でもよく考えると、札幌市内約15万世帯から集めた保険料は
巨額の資金になります。
この共済は学校外の事故だけを対象としています。
たとえば公園で犬にかまれたときに何百円か保険金が下りる、というもので、
起きる事故がそもそも少なく、給付額も少ないので、年間では数千万円の
利益がPTAに残る仕組みであることが私の調べで分かっています。
「札幌市PTA協議会」には、こうしてこれまでのPTA活動で積み立てた資金が
1億円以上眠っています。
つまり、PTAを名目とした錬金術が、「PTA共済」なのです。
PTA活動を本来の自発的で民主的な姿に戻すためには、いまの既得権益化
したPTAの上部組織を解体する必要があります。
各区には「区PTA連合会」、市には「札幌市PTA協議会」、国には「日P」という
上部組織があり、保護者の皆さんから上納金が吸い上げられています。
PTAは各学校ごとにあれば充分で、それを束ねる上部組織や上納金は必要
ないと思います。
こうしてPTA活動を批判すると、私のところには匿名の電話、郵便やメールなど
がしばしば届きます。
郵政民営化もびっくりの抵抗勢力ぶりにいつも驚かされます。
「郵政民営化を成し遂げるためには死んでもいい」と語った小泉元総理では
ありませんが、いったんこの仕事に就いた以上は私も覚悟をもって進むほか
ありません。
これからもタブーを恐れず、札幌市職員の利権にビシビシ斬りこんでいきます。
コメント
金子さま
初めまして。私、微力ながらPTA問題を考えているものです。
勇気ある御発言は、moepapaさんのブログで拝見しておりました。
>各区には「区PTA連合会」、市には「札幌市PTA協議会」、国には「日P」という
>上部組織があり、保護者の皆さんから上納金が吸い上げられています。
通常のPTA会員(保護者達)は、この上位団体の存在すら、しりません。
ましてや上納金の存在も知らないのがふつうです。
個々の学校のPTAが、入会予定者や会員に、団体の位置づけや上位団体のことに関しきちんと説明を果たしていくべき、と考えています。
PTAは「子どものため」と一般に思われていますが、その大目的の一つは、会員の民主主義教育です。個人が自分の頭で考え、能動的主体的に判断し行動し、社会を変えていくための仕組みです。青臭いですけれど、私は、この点に希望をたくしております。ですが、現実を変えていくのはなかなか難しいものです。
世の中にゆとりが欲しいと切実に思います。
最近『PTA読本』S23発行、文部省内PTA研究会・時事通信社 共編 に興味があります。
http://ameblo.jp/yodandesu/entry-10466221937.html
よろしければご一読くださいませ。
放送批評懇談会で紹介がありましたので、お知らせします。
http://www.houkon.jp/member/comment201209.html
引き続きのご活躍を応援しております。
苗穂様、ご返信遅くなり失礼しました。
27年度に札幌大会があるとの情報は聞いております。
札幌市PTA共済会の錬金術問題は札幌だけですが、PTAの加入自由化は
全国でも問題になっているようです。
そのとき札幌市から大会への補助金を出すならば、さらに議論が必要
になります。
PTAが健全な組織に生まれ変わるように、これからも頑張ります。
元放送局社員社員様
GALACという雑誌は知っていましたが、「TV&RADIOベスト&ワースト投票」
というのは初めて知りました。
私は深夜のFNSドキュメンタリーやテレ朝系のテレメンタリーが好きです。
今後応募してみようと思います。
ありがとうございました。
はじめまして。
勇気ある質問に賛同します。
地方局の情報は内地になかなか伝わってきません。
よろしければ下記等ご利用いただければ、と思います。
http://www.houkon.jp/galac/toukou.html
金子様
ご多用中にレスポンスいただき、感謝いたします。
お礼が遅くなり申し訳ございません。
アドプト・スクールが「少なくとも全員強制参加の仕組みではないみたいです。」とのこと、ありがとうございました。私も引き続き調べようと思います。
なお、市P協の運営方針・事業計画(http://www.sapporo-pta.gr.jp/organization/management.html)を見ると、「Ⅴ 事業計画 1.研修研究活動」の6番目に「(6)第63回日本PTA全国研究大会札幌大会(平成27年開催)の準備をする。」と書かれています。
また、昨年7月発行の日本PTA広報紙334号(参照先http://www.nippon-pta.or.jp/material/index.html#data02)には、市P協会長が「全国研究大会を過去に3度(平成27年度に4度目の開催が決定済)も開催した実績と経験がある」と書いています。
そこで、市議会会議録を「日本PTA」でサーチしたところ、ヒットした1つに『平成6年第一部予算特別委員会-03月22日-07号』がありました。読むと、議員の、
「実は来年,日本PTA全国研究大会,こういうものが札幌で行われることになりました。もちろん北海道や札幌市においても,補助金を出す対象の研究大会になるとは思うのですけれども,すでに札幌市PTA協議会からも教育委員会に対して要望が出ているとおり,この大会に対しての補助金を出してほしい,こういう声も上げられていると思います。こういう種類の大会を札幌市としてはどのように位置づけ,どのような枠で補助金を出すのか,この点についてもお尋ねしたいと思います。」
という質問に対して、社会教育部長が、
「日本PTA全国研究大会への補助についてでございますが,このPTA大会,第43回になります。これは来年の8月22日から24日までの3日間,日本PTA協議会が主催をして札幌市で行われるというふうな予定になっておりまして,それに伴います補助については,昨年10月とことしの2月に,この大会の事務等を行う札幌市PTA協議会から,経費の一部補助についての要請がございました。私どもとしましても,今後PTA協議会が行います事業の中身等十分協議をさせていただきながら,一つには,北海道にも要請が行っており,補助をする考えでございますので,北海道や,それから過去の開催都市での状況,あるいは,昨年の8月に全国高等学校PTA連合会の北海道大会が行われておりますので,そうしたいろんな事例を参考としながら,来年度の予算要求に向けまして,会場費として一部補助の考え方を検討してまいりたいと思っております。」
と答弁していました。
今年の市議会でのPTA論議によって、いくらヤジが騒然であっても、平成27年開催予定の「第63回日本PTA全国研究大会札幌大会」に向け、札幌市のPTAが、フェアなPTAに生まれ変わる可能性を感じています。
どうか、頑張ってくださいませ。
PTAは子供たちのためと言いながら、本来の目的は見失い、組織のための組織、強制加入のタダ働きの組織になってしまっていると思います。
子供たちのための学校の教職員と保護者のボランティアならば、市PTA連合、日本PTA連合は必要ないと思います。
ありがちなピラミッド構造を成し、上層部では会計不透明で、天下り先となり、見えない利益をひそかに享受できるシステムがあったりするのでしょう。会計が不透明なので、そう思われて仕方ない。
苗穂様、たしかに「教育長報告」というのは市議会で聞いたことがありません。
本会議には教育委員長と教育長の二人が出席しているのですが、答弁するのは
いつも教育長です。
いったいだれが教育の責任者なのだか、よく分からない仕組みです。
それとアドプト・スクールというのは、私も苦手な英語で聞いたことなので、
正確にはよく理解していないのですが、少なくとも全員強制参加の仕組みでは
ないみたいです。
お答えになっていなくて申し訳ありません。
金子様
ご多用中に資料にお目通しいただき恐縮しました。
ありがとうございます。
PTAに、
> PTA共済は「そんな細かいことは良いから、とにかくカネ集めたい」
という 意識的/無意識的 な動機がある、という視座を私も持ちます。
6月の市議会会議録で丘珠空港にも触れたご議論を拝読しました。
教育委員会委員長へのご質問に教育長が応え、その際に「委員長に代わって応えます」と言わずに応えたのが印象的でした。
6月議会後に開かれた教育委員会の会議録も読みましたが、一般的に少なくない「教育長報告」がなく、当然、市議会における教育長答弁の報告がないので、札幌市教委の教育委員会の会議の独特さも印象的でした。しかも、会議録の出席者名簿を見ると「教育長」の肩書きがあって不思議でないところに「委員」としか書かれていないので、別の独特さも感じました。
アメリカの「アドプト・スクール」とは、Adopt-A-School Program に関連したものなのでしょうか(参照先:http://www.hemaraj.com/page/corporate_social.asp?lang=jp)?
お手すきの時にご教示いただければありがたく存じます。
皆様、コメントありがとうございます。
「PTAはアメリカが発祥」との説があるのですが、アメリカの方に聞いたら
「アドプト・スクール」という仕組みがあるそうで、日本のPTAとはまったく
違うとの話を聞きました。
また苗穂様、教えていただいた日本保険学会の資料をダウンロードして、
拝見させていただきました。
専門の研究者の方から見ると、さらにいろいろな問題点があるものですね。
PTA共済は「そんな細かいことは良いから、とにかくカネ集めたい」という
不純な動機が感じるのは私だけでしょうか・・・?
閲覧も傍聴も出来なかったんですが、金子さん、コレは闇が深い。
戦ってください。
天下り機関としてのPTA組織。
とても興味深い記事でした。
それと「ヤジ」の内容は具体的にどのようなものだったのでしょうか?
そこが気になりますね。
はじめまして。
学校教育行政の是正をも目ざしていらっしゃる議員活動に敬意を表します。
以下、この夏、ブログ<シングルパパはPTA会長>に投稿したコメントと同じ内容のコメントを投稿いたします。ご海容くださいませ。
昨年(2011年)10月に開催された平成23年度日本保険学会全国大会で「PTA安全補償制度運営上の諸問題 —アンケート結果に対する一考察 報告者:早川淑人(札幌学院大学)」という研究発表がありました。
ウェブ(http://www.js-is.org/?p=27)で要旨とレジュメ(どちらもPDF)が読めるこの研究発表のもとになったのは、札幌市PTA協議会の「資料集」(http://www.sapporo-pta.gr.jp/data/data_materials.html)にある、以下のものかと思われます。
・・・・・・・・・・
○2008.07.18 「資料1:安全補償制度説明会資料」
○2008.07.18 「資料2:児童生徒数推移表」
○2008.07.18 「資料3:今後の安全補償制度の考え方」
○2008.07.18 「資料4:PTA保険商品開発のポイント」
○2008.10.10 「商品開発内容優先順位」
○2009.01.16 「市P協安全補償制度アンケートに対する回答」
・・・・・・・・・・
ただし、研究発表の要旨とレジュメでは「札幌市」ではなく「B市」という表現になっています。
ご検討済みでしたらお許しください。
確かに、共働きで必死に働いている保護者には、無理な活動ですよね。PTAって、そもそも必要ですか?不要ではないかなと思いますが。