令和時代の「ハコモノ行政」
渋谷区ではネウボラという言葉がよく出てきます。
フィンランド語で「助言の場」を意味する言葉だそうです。
「子育てを切れ目なく支援する」という一見聞こえの良い言葉。
しかしその裏側で、役人が利権を拡大するための都合の良いキーワードになっている側面もあるようです。
令和時代の新スタイル版「ハコモノ行政」です。
私が注目しているのは、渋谷区神南の一等地で進められている、ネウボラ施設の新築工事。
この施設を運営する事業者の公募でいま疑惑が浮かんでいます。
このビルに「ネウボラ・地域子育て支援拠点」が開設されることになっています。
長谷部健区長の選挙公約の一つです。
事業は民間に委託され、公募の結果、「まちの保育園」グループが受託することに決まりました。
ところが、情報公開請求で書類を取り寄せて公募の過程を調べてみると、不審な点がいくつも見つかります。
公募型プロポーザル
公募は「プロポーザル型」方式で行われました。
所定の期間内に寄せられた提案書を審査し、もっとも評価の高い業者を選ぶものです。
普通の入札であれば金額が規準になります。
一方で 「プロポーザル型」 は金額ではなく、「評価」が基準になります。
評価は人間が行いますので、偏りが生じやすく、どうしても恣意的(しいてき)になります。
できるだけ公平な評価になるように、
・事前に評価基準を定める
・評価者の人選を公平に選ぶ
・選定結果はすべて公開する
といった工夫が求められます。
税金で運営する事業ですから、説明責任が求められるのは言うまでもありません。
渋谷区の公募は闇に包まれている
ところが渋谷区の公募プロポーザルは上記のすべてを外しています。
・評価基準は結論に合わせてあとから自由に変更できる
・評価者は区長の子飼いの部下で固める
・選定結果はマル秘
・情報公開は海苔弁で非公開
つまり業者は役所の判断で都合よく決めて、その過程は区民には非公開。
すべてが闇の中という状態です。
長谷部区長のお友だちが見事に当選
その結果何が起きたか。
ネウボラ拠点の運営事業者は、長谷部区長の支援者(お友だち)が社長を務める「まちの保育園」グループが最高得点で選ばれたのです。
本当に公平に業者選定が行われたのか、との疑念が浮かんできます。
この事業では、職員が受付印を捏造した疑惑を 先日のブログで取り上げました。
長谷部区長は議会答弁で「知らぬ存ぜぬ」とシラを切りましたが、動かぬ証拠があり、いまさら言い逃れをしても意味がありません。
そして今日は疑惑の第2弾。
マル秘のはずの公募情報が長谷部区長のお友だちに事前に流出していた問題をご紹介しましょう。
公募情報が事前に流出
今回話題のネオボラ事業者の公募は昨年(令和元年)12月2日から募集が始まりました。
公募は約3週間。
12月23日が締切日でした。
募集要項はホームページで12月2日から公表されています。
その結果、募集期間中に「まちの保育園」グループ を含む3社が公募プロポーザルに応募しました。
下記の書類は 「まちの保育園」グループが提出した企画提案書の一部です。
情報公開請求で渋谷区役所が私に開示した書類です。
渋谷区がいま建設中のネオボラビルの3階平面図です。
オープンテラスを備えた開放的な空間にステージや赤ちゃん広場、応接スペースなどがCAD設計図に示されています。
設計図を書いたのは 「まちの保育園」グループです。
まだ公募に選ばれてもいない 「まちの保育園」グループが、なぜか建設中の建物の詳細設計を描いているのか?
その事自体が謎ですが、 そのまえにこの設計図の下の方にいくつか不思議な記載が見つかります。
まず設計図の左下に黄色のマーカーで私が色を付けた箇所をご覧ください。
「良品計画」と文字が見えます。
無印良品でおなじみの「良品計画」が設計図を書いたようです。
「まちの保育園」グループは 「良品計画」に設計を委託したものと思われます。
日付に矛盾がある
そして図面の右下に注目。
設計図を描いた日付が書かれています。
小さくて読みにくいので拡大してみます。
Date「2019・11・28」
と図面の作成日が書いてあります。
良品計画が設計図を描いたのは2019年11月28日。
しかし、渋谷区が公募を発表したのは12月2日なのです。
これはおかしくないでしょうか?
「まちの保育園」グループ・良品計画は渋谷区が公募を開始する前に設計図を描いているのです。
設計図を作成するのはタダではありません。
2社は未発表の公募情報を事前に察知していたということです。
未来予想カンパニー・無印良品
未来の設計図を描けるとは仕事が早すぎますね。
なんと素晴らしい技術力を持つ会社なのでしょうか。
これならば高得点で落札できることも分かります。
ひょっとすると、ドラえもんに頼んだのか?
デロリアンに乗って未来に行ってきたのか?
それとも、幸福の科学の大川隆法先生に霊験をお願いしたのかもしれません。
長谷部区長ご本人に聞いてみた。
タイムマシーンに乗って未来の入札情報を知ることができるならば、私も真似してみたい。
私も自分の会社で区の仕事を受けたほうが議員よりよほど儲かる。
ですから、議会で長谷部区長ご本人に聞いてみました。
なぜ、「まちの保育園」グループが公募前に情報を掴んでいるのか?と。
誰が公募情報を業者に淵らしたかとの指摘については、公募開始前に情報提供した事実はありません。
令和2年6月5日渋谷区議会定例会にて長谷部区長答弁
公募プロポーザルをやる前に決まっていたのではないかとの指摘については、そのような事実はありません。
公募開始前に「まちの保育園」グループ に情報提供した事実はないと明確に否定しました。
でも現に 「まちの保育園」グループ は公募開始前に設計図を作成しています。
動かぬ証拠があるのです。
入札情報を漏らしたのはだれ?
長谷部区長の言う通り、渋谷区が情報を漏らしたのでなければ、「まちの保育園」グループが情報を盗んだことになります。
※イタコの協力が得られた場合は別。
不正に入手した情報をもとに事前に準備を進めたならば、同時に公募に参加した事業者より圧倒的に有利です。
未竣工の建物のCAD図面を持っている事自体が不公正ですし、
とても公平に競争が行われたとは言えません。
落選した2社はこれを知ったら怒り狂うでしょう。
もし渋谷区の内部に忍び込んで入札情報を盗んだならば窃盗容疑。
区職員に内通者がいて、結託のうえ入札情報を得たならば官製談合防止法違反の疑いが生じます。
(独り言)アイヌ官製談合でも似たようなのがあったな・・・。
お友だちが次々と仕事を獲得・・・
いずれにしても入札不正の疑念が持たれています。
「事実はありません」とシラを切れば済む問題ではありません。
渋谷区は第3者を入れて真相を解明すべきです。
現に「まちの保育園」グループ の社長は長谷部区長の選挙を応援した「お友だち」です。
社長は長谷部区長の後押しを得て、渋谷区の教育委員にも就任しています。
「まちの保育園」グループ は「まちのこども園 代々木上原」「まちのこども園 代々木公園」を開設。
いずれも長谷部氏が区長就任後のことです。
お友だち優遇行政は止めさせよう
このように、友だち優遇は国でも同じように行政を歪める大問題となっています。
とても先進国とは思えない行政の不正が国も地方もはびこっているのです。
国では安倍総理は知らぬ存ぜぬと逃げ回っています。
法務省や検察庁の人事権まで使って誤魔化し続けています。
さて長谷部区長のこのお友だち優遇疑惑。
いつまで逃げ切ることができるでしょうか。
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