10月11日の区議会で令和3年度の渋谷区一般会計決算を「不認定」とする討論を行いました。
※不認定とは区長の区政執行に問題があり、議会として認めないという意思表示です。
決算不認定というのは区長の一年間の仕事ぶりすべてにNOを突きつけることになるので、当然にその後は区長と気まずい(?)関係になるのですが、これは同じ会派の堀切ねんじん区議と協議したうえの結論です。
当日の議会で不認定(反対)としたのは立憲民主党と日本共産党、堀切議員と金子の9名でした。
一方で自民、公明、シブヤ笑顔の3会派は認定(賛成)だったので、多数決で決算は認定されました。
当日の私の大まかな発言趣旨を掲載します。
実際に演台で話した内容は後日に区議会のホームページに議事録として公開されます。
——————討論骨子———————–
私は令和渋谷を代表し、決算不認定の立場で討論する。
理由を一言で言えば税金の無駄遣いが目立つためである。
その代表的な例が渋谷アロープロジェクトである
決算特別委員会総務分科会の主査報告書でいみじくも指摘されたように、
帰宅困難者対策としての実効性に疑問の声が上がっている。
・災害が発生したときにガード下のアートが本当に役に立つのか?
・せっかくのアートも上から落書きされ、結局はただ落書きにしか見えないのではないか?
これまでも議会で度々問題提起されているのに、
区はただ漫然と補助金を支出するだけで一向に改善される様子がない。
それどころか、今年春に実施された監査委員の財政援助団体監査では、アロープロジェクト実行委員会の驚くほどずさんな経理とガバナンス欠如の実態が明らかになった。
令和3年度財政援助団体等監査及び随時監査報告書(PDF 880KB)
そのうえで、今般の決算委員会総務分科会では、アロープロジェクト約3千万円もの予算の多くが事務局費、広報費、維持管理費、ビデオ制作費、弁護士代など間接費として支出されていることもわかった。
つまり実行委員会形式を隠れ蓑にして、長年にわたって闇の中でお手盛りとデタラメが繰り広げられてきたのではないかと疑念が高まっている。
そもそもアロープロジェクトはハセベ区長の看板政策で、事業の資金使途もブラックボックスでその内実も疑念に包まれている。
区役所で本来必要な事業実施の原義決裁すら省略して、区長の独断で補助金が支出されたと監査委員からも指摘された。
「実行委員会」と言っても、実際に事務局を務めているのは区職員であり、職員皆が見て見ぬふりで長年不正が続けられたのは、アロープロジェクトは区長の政策で職員も区長に歯向かうのを恐れたためか、と考えると事態は極めて深刻である。
決算委員会で各委員から細かく質疑しても明確な答弁がなく、結局のところただ区長のお友達にお金をばら撒いているだけで、帰宅困難者対策に役に立つとは到底思えない。
すなわち渋谷アロープロジェクトはハセベ区政の税金の無駄遣いの象徴であり、
直ちに中止すべきである。
以下に各部事業ごとに我が会派として指摘事項をかいつまんで申し上げる
1.議会費
区議会だより刷り直しで164万円
区長が議会に介入し、「教育長は推定無罪」という区長自ら発した言葉を、都合が悪いからという理由で表現を勝手に削ったのは区長のわがままで、本来は区長が自分で負担すべき費用である。
2.基金積立
基金を1200億円も積み立てた、年度予算一年分を超えたというのに、いったいこの先どこまで積立を続けるのか、聞けば「計画がない」という。
もし税収が多すぎるなら、いたずらに基金を溜め込むのではなく、減税など納税者に還元する方法を考えるべきである。
基金の内訳は現金と書いてあるのに聞いたら実は銀行預金だとか、運用益がわずか1億円だとか、利回り0.1%とは低過ぎで、運用手法にも改善の余地がある。
3.財産収入・財産売り払い収入で、
鉄くずなどの不用物売り払いがセリではなく、所管部が(お友達の)業者に随意契約で払い下げていることが判明、適切な時価で売却されたのか疑問がある。
一般競争入札でできるだけ高く売る努力をすべき。
※鉄屑は49万、トン二千円としたら200トンも、そんなにあるのか?
怪しすぎる
4.総務費・官民連携事業:
渋谷未来デザインに1472万円も税金を支出したが、この会社は昨年度4千万円以上の経常利益を上げていて本来ならば補助金を与える必要はなかった。
事業の実態は非公開で密室(伏魔殿)の中でなにが行われているのか議会に報告がなく、区民にもわからない。
官民連携の美名のもとで民間企業と癒着の温床となっている実情を反省すべきである。
5.総務費・財産管理費:
財産価格審議会は非公開で議事その他いっさいが闇の中、
区民の財産がお友達に格安で叩き売られていても、売却価格が適正だったのか区民が知る術がない。
区民の財産を預かるものとしてきちんと説明責任を果たすべきである。
6.総務費・スマートシティ推進事業:
アクセンチュアというコンサル会社1社に1億1千1百万円を投じて業務を委託しているが、区民の暮らしにどんなメリットがあるのかよく分からない。
区民の日々の暮らしがスマートになる様子もなく、実験事業にしてはあまりに事業費が高額。
コンサル会社のエリートが儲かるだけで、区民が潤うわけでもないなら、税金でお遊びはやめてもらいたい。
7.総務費・広報費
渋谷のラジオに約2千万円も支出しているが、毎度お友達を出演させて公共の電波の私物化は止めるべき。
そもそも区役所が多額のスポンサー料でラジオ局の経営を支配し、区長に都合の良い放送を流している構図は異常で、まるで共産主義国のプロパガンダのよう。
コミュニティFMの精神に反するし、「民放」の看板を掲げるなら公権力に依存せずスポンサー収入で経営が成り立つように努力すべき。
そもそも誰も聞いていないという根本的問題も解決する必要がある。
8.総務部・事務費
参与の鈴木寛氏に年480万円も払っているのに、具体的な成果が説明できない、
そもそも国立大学の教官なら十分な給料が大学から支給されているのに、なぜこれだけ多額の報酬を払う必要があるのか?
説明ができないなら、区長のお友達にお小遣いをあげるだけ、
税金の無駄遣いと言われても仕方ないだろう。
9.総務部・財政管理費
入札のいわゆる「区内業者」しばりについて、
貸し会議室に営業所を置いて区内業者を装い不正に入札に参加し落札する不祥事案が最近あり、
区民の不信が高まっている。
それなのに、区は規定で定められた実態調査すらまったく行っていなかったことが質疑で判明した。
今後は計画的に実地調査を行い、入札の公正を期するべきである。
10.教育費・教育総務費・教育センター運営費
いじめ相談や不登校、登校しぶりの問題について、教育センターが適切に役割を果たしていないようすがうかがえる。
学校に行けずに困っている生徒がいるのに、「当該年度は問題が完了した」などと答弁し、
まるで職員がきちんと役目を果たした、仕事が終わったかのような説明に終止したのは問題である。
いじめを受けて困っている児童の立場になって改善するよう求める。
11.民生費・児童福祉費・子育て世帯生活支援特別給付金
(子ども家庭部・子ども青少年課)
低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金について、
支給対象者には全て給付したと報告されたが、一方で返還金が発生しているということは、対象者全員に行き渡っていないということではないか。
支給対象者と給付完了の実数を把握していない様子が疑われ、正確に議会に報告されなかったことも遺憾である。
職員は黙っていても毎月給料がもらえるのだろうが、生活に困っていると認定された子育て世帯はそうではない。
この5万円があれば、どれだけの家庭で子供の笑顔が見えたことだろう。
国がなけなしの金庫をはたいて実施した事業の給付金がきちんと届いていないというのはまさに渋谷区役所の怠惰と言わざるをえない。
区長は所管部局に適切に対処させるよう求める。
これ以上はキリがないのでヤメにするが、
総括して、税の無駄遣いはハセベ区長の政策と公私混同に端を発する問題と、職員・区役所の構造的怠惰の問題に二分される。
区政の長としてのハセベさんに申し上げるならば、
イエスマンで周りを固めて外部の批判に耳を覆うだけでは問題はなにも解決しない。
来年には区民の審判を受けることになるのだから、
私が申し上げたこれら指摘事項をひとつひとつ真摯に反省して、今後の区政改善につなげていただくよう要望する。
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